ぐるぐるゆっくり日光詣:思い立ったので計画編

 GWから二週間が経ちましたがいかがお過ごしでしょうか。

 

 昨年のGWは流石にどこにも行かず、外出といえば近所の散歩ぐらいしかしませんでしたが、一年かかって何が高リスクで何なら大丈夫そうなのかというのが大体わかってきましたね。

 おしゃべりしながらご飯が一番危ないとか。
 黙って粛々と食事をするなら外食も大丈夫だろうとか。
 話すときは距離が近いと危ないよねとか。
 手洗い大事とか消毒しろとか。
 不織布マスクしようねとか。
 家庭内は正直どうしようにもないとか。
 逆に。
 
 逆にぼっち最強とか。

 

 我が県は緊急事態宣言も出ていないことですし?ここ二週間どころか何ヶ月も誰かと食事なんかしてませんし?

 そういうわけで行ってきました。

ココミル 日光 鬼怒川(2021年版)

ココミル 日光 鬼怒川(2021年版)

 

  日光。

 

 はーっはっはっは羨ましいだろ都民!!!!
 羨ましかったらバキッと患者数を減らすのだ!!!!

 そもそも計画したのが4月半ばという、こんな状況とはいえ流石にGW舐めてる時期だったので、飛行機距離はダメ、せいぜい新幹線という縛りが最初に入りました。そして東京以上にやばい大阪、京都、兵庫も緊急事態宣言中なのでナシです。

 名古屋方面でもまあいいのですけど何となく地元に帰る雰囲気になってしまって旅行感が減るのでナシ。友人に会うことはまだ出来ないですし。

 北かなー?

 あーでも北関東でまだ行ってないとこあるじゃん。 

yamagishi-tea.hatenablog.com

 前回の埼玉旅行の最後に書いたように、ずっと修復工事をしていたのが終わったと聞いて以来行きたかったんですよ日光。GWといったって30日は平日で学校もある。これは休み前半に日光行くしかない!!!

 ……ところで日光、どこ?

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 ここ。

 JRでもたどり着けますが基本的には東武鉄道の支配領域で、現地の足も東武バスになります。ああ、当然今回も電車とバスの旅です。レンタカー?危ないじゃないか。

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 いつものごとく雑に路線を引いてみるとこんな感じ。これだけでも関東の電車はごちゃっとしてますね。さらに各社乗り入れてるから田舎育ちにはどの電車乗ったらいいのか全然わからないんですよ。関東の民はどうやって整理しているのか。
 ともかく日光、そして鬼怒川温泉へ行くとなれば東武鉄道東武バスにお世話になることになるわけですね。

 そして旅程ですが、久々の旅行だし2泊かなーと思っていたところで「まるごと日光 東武フリーパス」なんてのを東武が出しているのを見つけてしまいまして。こいつが4日券なのです。つまり3泊分。

www.tobu.co.jp

 4日かぁ……日光〜奥日光で4日かぁ………時間余らない?

 中禅寺湖まで行くとなると……(電卓ぱちぱち)

 ……よしこの券で行こう!

 

 ってことで4日になりました。
 本当にフリーパスを使った方が得なのか、最終的な計算はしてないのでわかりませんが、フリーパスを買えば途中下車に対して気を遣わなくて良くなるのでこれでいこう、となりました。
 なおこのフリーパス、日光バージョン、鬼怒川バージョン、日光+鬼怒川バージョンなど色々取り揃えられておりますゆえにご興味のある方は(一文にもならない宣伝)

 

 いや私フリーパス好きなんですよ。
 今回はこの上ない観光地だけに東武バスも完全にSUICA対応していましたが、こう、旅先でバスに乗るときにいろいろ心配しなくていいというのは私にとってかなり大きなメリットで……ええ。

 

 日光まで行って3泊するなら1泊は鬼怒川じゃないの、という気もしたのですが今回旅行リハビリ的な意味もありますのでゆったり日光4日旅と相成りました。

 

 そうと決まればあとは宿の予約です。
 フリーパスのエリアも考えながら、初日は日光泊、2日目に中禅寺湖畔泊、3日目にもう一度日光泊。ゆるゆるですね。

 宿の予約状況からしてガラガラというわけでもなさそうで、それなりにお客さん入ってるっぽい雰囲気を感じました。もちろん宿泊者数を減らしている可能性はありますし、そもそも4月半ばでGWの日光に宿が取れるということ事態が異常事態なのかもしれませんけれど。

 っていうか素泊まりでも高いな!さすが日光だな!!いいよ出すよ!!!

 

 今回連れて行ったガイドブックは冒頭のココミルです。なんか私の持ってるのと外面が違うな……?でもココミルなので合ってるはず。
 薄くて軽くて割と使いやすかったです。「ココミル」という名前の通り観光スポットの紹介がちゃんとしてました。ことりっぷとどっちのがいいのかな。

 

 

 そんなこんなの日光詣。

 隣県には緊急事態宣言出てる中、一体どんな旅になるのか。

 宿以外はほぼノープランな旅のスタートです。

 

時計じかけのオレンジ - 選択の自由意志か、それとも社会の安寧か?

 来週からGWという状況において東京大阪京都兵庫に緊急事態宣言という展開となって参りましたがいかがお過ごしでしょうか?

 「人と会って話がしたい」という欲求とバチバチに相性が良い新コロウイルスですので連休狙い撃ち宣言発出も致し方ないですね、などと私は思うわけですが意外と賛否があるようです。「しゃべりたい」「飲みたい」という衝動とはこれほど強い物なのですねぇ。

 

 生活習慣病に対して「結果自分が病気になってもいいから不摂生させろ」という主張は前々からあり、こちらは増える一方の医療費問題との兼ね合いが常に議論になるわけですが、こと感染症については不特定多数の人を巻き込むため事態はより深刻です。
 それでも「知ったことか」「大丈夫でしょ」という人は一定数いて、宣言出したって友達と集まって宅飲みはできてしまう。こんな状況でも自制できない人というのは何かと理由をつけて自制しないものです。

 

 

 今回読んだ本は、社会全体から見た時に「より良いこと」を選択できない人、もっと言えば積極的に「悪いこと」を「悪いこととして」積極的に選択する人を強制的に選択できなくしてしまうことは許されるのか、という古今東西普遍的な議題を取り扱った本のうちの一冊でした。

 ここまで前置き、なっがいな!!

時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)
 

 時計じかけのオレンジ
 アントニイ・バージェス
 乾慎一郎訳
 ハヤカワepi文庫

 

 小説はお久しぶりですねー。ディストピア物だってことだけ聞いて買った本なので細かい内容はまるで知らなかったのですが、なかなかどうして世情にあった本でした。非常時ってのはどうしてもディストピアに寄りやすいってことですかね。多くのディストピア物、戦争中だったりするので。

 ……と書いておいてなんなのですが、この手の「個人の選択の自由」が問題となる本にしては珍しく本書の世界では戦争の気配がしません。ただ(もちろん)全体主義的社会ではある様子が集合住宅にかけられた労働賛美の絵画や「教化」という言葉などに見え隠れします。

 

 本書の主人公は15歳の少年アレックスですが、これがまあどこをどうしても擁護しようのない非行少年です。
 4人でグループを作り夜ごと薬をキメつつ破壊、強盗、傷害、強姦、喧嘩などなどを実に楽しそうに行います。愛用武器はカミソリ。しかもそれなりに頭が良く、きちっと買収によりアリバイを作るのでもう目も当てられない。
 「貧乏のせいだ!」というような話でもなく、両親は仕事してるし着るものも食べるものも家も自分の部屋もあります。音楽が大好きで部屋にはステレオセットがあり、クラッシックレコードがお気に入り。親受けする言葉、カウンセラー受けする言葉などをよく分かっていて、適当に取り繕うこともできます。タチ悪いぞ!!
 悪事に対して「これの何が悪いんだ?」と思っているわけではなくもう一段上(上?)で「悪いことが好きだから悪事を働く」タイプであり、自分のしていることが悪だと認識しながらそちらを選びます。曰く、

"善良"の原因さえよくわかっていないくせに、その反対のことがわかるわけがなだろう? 人々が善良だということが、その人々が善良を好むということだとすると、俺は絶対その楽しみを妨害しようなどとは思わないし、また同じことが反対側の場合にもいえる。そして、おれはその反対側を支持しているのだ。(p62)

 

 ……どうするよ。どうするよ、これ。
 本当に最初から最後まで救いようがない、を絵に描いたような人物です。

 

 でまあ、ついには強盗に入った先で捕まるのですが、その時に痛めつけた老女が亡くなってしまい、めでたく殺人犯と相成りました−というところで第二章へと突入します。

 

 この本は全三章で、主人公の日常と捕まるまでの第一章、刑務所での生活と「矯正」の第二章、出所してからの第三章という構成です。第二章の矯正パートでこれまたろくでもない矯正を受けるのはディストピアファンの皆様なら想像つくかと思います。ロボトミー的なあれです。
 作中ではルドビコ法と呼ばれている矯正方法で、気分の悪くなる薬と暴力映像を同時に摂取することで暴力=気分が悪いを擦り込みます。これにより血や暴行を見たり想像したりすると吐き気を催すようになり、その吐き気から逃れるために必死になって善行を想像するようになるという仕組み。脳みそをいじって善人にする仕組みでないことがポイントです。
 アレックスの性根は全く変わっていません。しかし「選べなくなる」。
 徹底して犯罪数の抑制と刑務所のゆとり確保のために作られたシステムです。

 

 さて……このような方法による意志の剥奪はどのように評価されるべきでしょうか。

 

 いやねー!この「矯正」方法、なるほどって思いましたよねー。「矯正法」という法律が施行されてるようですけどその実当人は全然矯正されてないもんねえ。でも行動だけは確実に変わるんですよねえ。この「気をつける」みたいな意識に頼らない解決方法、素晴らしいですね(現場並感)。

 現代社会でも意志、というより選択の剥奪はたとえば「収監」などで行われています。選択が物理的に取れる選択肢の形式ですね。
 この小説の中ではその選択が生理的な反応により制約される形式です。基本的には一生ものなので終身刑に近いですが、「善良であるなら」解放後の行動は自由であり、その意味では、あれっ人道的では……?という気にすらなります。でもやっぱり肉体に直接介入するのはちょっと……ううーん、と。この調整具合、上手いですよね。

 

 主人公の一人称語り形式で書かれているため保身っぷりも筒抜けとなっており、読者は全編通してクズエピソードや武勇伝()を聞かされ続ける立場になります。つらい。オリジナルスラングたっぷりなのもあって胸焼けしてくるレベル。
 しかし話が進み登場人物が増えるにつけ「いっそ清々しいな」という気持ちに段々となってきました。
 というのも、物語全体を通じて上から下まで右も左も全員がろくでもなく、善人が不在というかみんな身勝手です。主人公だけでなく警察から一般市民から研究者から政府から反政府団体からどこを見てもこの社会ダメだと思う程度には各々勝手に各人の主義主張に忠実です。
 でも現実の世界だって世の中そんなもんだよねー!!という感覚が常日頃からないわけでもなく、またこれが主人公自身の主義主張に対するカウンターにもなっています。

 

 ウルトラ身勝手な主人公が周りから好き勝手される様を見て、正直ちょっと胸がすく、のと同時に諦めのような感覚も伴って「これだから世の中ってのはよぉ……」と雑に感想を投げたくなる、そんな読後感でした。
 

 タイトルの「時計じかけのオレンジ」がなんたるかも作中でスパッと説明されているので謎は残らずその意味ではスッキリした本です。映画化もされてるらしいです。そんなに厚くないのでGWのお供にぜひ。

数学にとって証明とはなにか - 懐かしの定理の証明鑑賞会

 お天気荒れ気味の週末ですがいかがお過ごしでしょうか。

 わたしはまだGWの旅行立てておりません。どーしよ。

 

 

 さて読書感想文()も久しぶりですねー3月に読んでいた本が上下もので、まだ上巻しか読んでいなくて感想書けないのです。ということで一旦その上下本をお休みして読み始めた本がこちら↓

 数学にとって証明とはなにか ピタゴラスの定理からイプシロン・デルタ論法まで
 瀬山士郎
 講談社ブルーバックス

 

 本の前半は証明の定義と論理展開パターンの提示、記号論理学の紹介と算数の振り返りが展開され、後半で幾何学解析学代数学の基本的な証明を鑑賞する、といった構成になっております。論理展開の部分は演繹・帰納・仮説論理と背理法の説明です。背理法を引っ張ってくるためのパートですね。でも本全体からし記号論理学パートは必要でしたか……?ここ後半との繋がりが無くないですか……?(ボソッ

 

 数学にとって証明とは何か、というタイトルテーマへの答えは第1章で辞書からの引用によって示されます。曰く、

 「いくつかの事実を前提にして、論理的に結論を導くこと。見出されたあるいは予想された数学的事実を、間違いなく確立するための手続きであると同時に、数学的事実の意味、内容、意義、他の事実との関係などを明らかにする手段でもある」
(岩波数学入門辞典 これ↑は孫引き)

だそうです。前半は一般に証明と聞いてイメージすることでしょう。後半の「数学的事実の〜」から先が重みのある部分ですね。ただ手続きであるだけでなく、その意味やら他の事実との関係を読み解く手段でもあると。
 著者も強調するのはここで、形式的な記号捜査はもちろん大事だけど、その計算が意味するところを理解する=何をしているのか説明できることも同じだけ大事、と強めに訴えています。特に初等教育に対するこだわりが見てとれます。

 

 

 普通の辞書でもそうですが、当たり前であるようなことの説明は意外なほど難しかったり、或いは回りくどかったりします。
 中学に入って最初に出てくる証明は簡単な幾何学でしょう。三角形の合同・相似・二等辺三角形の底角定理、平行線の性質。天下り的に出てくるこれらの定理を「では証明してみましょう」というと、どうしても中学数学の範囲を飛び越してしまうところがでてきます。この本によれば、ややもすれば循環論法に陥っている部分もあるようです。
 この辺りをどう回避するか、というところのアイデアでパッポスの裏返し法やユークリッドの「原論」を参照する辺りは面白く、これそのまま中学の教科書に載せてもよくないか?と思ってしまいます。
 教科書には教科書の都合もあるでしょうけど、中学生でもまあ思いつけってのは酷かもしれませんが読めばわかりますよね?コラムにでもあれば良いのになぁ。面白いじゃないですかひっくり返すなんて。見せて欲しいですけどねぇ。

 

 この本の特徴として、全体を通じて「教育の中でどのように証明を扱うか」という視点の話がよく出てきます。「数学にとって証明とはなにか」というより「数学教育にとって証明とはどのようなものか」という本なのではと途中で疑ったほどです。
 どうやらこの著者は教育大学を出ている方のようですが、そのせいなのかどうかはよくわかりません。教育大学の理学研究科って何するの。教育学なの数学なの。
 独特な視線、と言えばそうですし、今何の話だったかわからなくなりがちとも言えてここは一長一短ですね。

 

 代数学の最後の方は「円板」なる考え方が現れてもう全くついていけなくなったのですが(本の中でもあまり説明がなくて紹介だけ)、鑑賞パートは中高でみた定理が沢山出てきて懐かしい気持ちになる本でした。

 

今年の花見

 ご無沙汰しております。

 新年度始まっていかがお過ごしでしょうか。こちらは相変わらずです。仕事できるようになりません。どうしたらいいですか。

 

 

 さて今年の2月3月が暖かい傾向で、桜が1週間早く満開になりましたね。宴会は昨年同様控えるようにとのことですが、一人で山に行く分にはよかろう。

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 てなことでやってきました秦野弘法山。安定の小田急沿い。何年か前にもきたことあるのですが久しぶりですね。何がいいって秦野駅から割と近いことです。浅間山→権現山→弘法山→吾妻山のプチ縦走()ハイキングですが、運動靴で余裕なコースなのでお手軽。実際、結構な人が来てましたね。

 一番辛いのがこの看板のところから最初に登る階段なので、調子に乗らずゆっくり目を意識して登っていけば息切れもせず上がり切れます。

 登り切ると開けたところに出ます。

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 散り際ですね。はやいわ。

 もう少し進むと小さな東屋。ここが浅間山山頂。ちょっとした日当たりの違いなのかここは桜がまだ結構残ってました。お昼タイムにしている人も大勢います。

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 先に言うとここが一番残ってましたね。他のエリアは葉桜まではいかないものの散り始めておりました。

 一瞬下って駐車場横を通りつつのー

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 ここに限らず、駐車場脇って結構綺麗に桜植えられてたりしますよね。
 細い車道を横切って権現山へ。距離は短いですが最初の登りと同じくらいの坂を登ります。体力削れてる分最初よりややしんどい。

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 紅葉ですねー

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 この六角形のちょっと洒落た展望台が見えたらフィニッシュ。権現山の山頂エリアです。広場のようになっていて完全にピクニック会場。

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 見晴台のようなところがベンチになっていたので私もここでお昼ご飯タイムです。コンビニで買ったパンと家で賞味期限が切れていたカロリーメイト。手作り弁当?そんなものはない。

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 ご飯後には展望台にも登ってみました。これだけあったかいと富士山は見えません。遥かに霞見えるだけ。

 休憩を終えて再出発。非常によく整備されていて歩きやすい道です。開けているし。

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 花は桜だけじゃないんだぜ。
 この時期にはこの↑鈴なりの花をよく見かけますがなんていうんでしょうね?

 

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 弘法山山頂到着。鐘があったり、釈迦堂があったりして山の中にお寺が一体化したようなところ。ここは先の浅間山や権現山のように開けておらず、どちらかといえばしっとりとした雰囲気です。

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 で。

 ここからすこし雰囲気が変わります。

 

 ここまでは十分に広いし階段もしっかりしてるしなんなら舗装されてたりするしという散策路というか散歩道のような雰囲気のある道なのですが、ここからちょっと山歩きっぽくなります。あくまで「っぽく」です。いわゆる山歩きをする人、ハイカーにとっては全然散歩道でしょうが、歩いてる人数もちょっと減る感じがありました。

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 土の道、きもちいい。たのしい。

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 おや、木のウロに小さな……どなたが手入れされているのでしょうね。

 この弘法山をこえて吾妻山に行く道、弘法山から鶴巻温泉までの道、実距離としても精神的距離としても長いです。
 いや立て続けの山頂や桜イベントが前半にあったせいなのですが、小さな登り降りをしつつゆるやかに降りて行くこの道のり、前半に比べて何もなさすぎるんですよ。ずっとこういう道ならそれはそれでいいのですが、落差のせいで長く感じてしまいます。

 

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 吾妻山へ到着です。これまでで一番山頂エリアとしては小さいかな?東屋と休憩できるベンチはあります。

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 いいですね。山だって感じです。公園っぽいのもいいですが、こういう木に囲まれた中にあるの落ち着きます。

 こちらで少しだけ休憩して、鶴巻温泉の街へと降りました。かかった時間は休憩・昼ごはん・写真撮影込み込みで3時間半くらい。コースタイムが2時間10分なのでそんなものですね。

 鶴巻温泉には日帰り温泉もあったのでひとっ風呂。大きなリュックを持った方が大勢来ていて、完全にハイカー御用達になっていました。まあこの位置にあればそうなりますよ。それが狙いでもありそうですし。
 お風呂に入り、休憩室でうたた寝をし、帰宅。お疲れ様でした。

 

 

 次の旅行といえばGWですが、新コロ患者さんがまた増えてきていて、どうしたものかと思っております。さらに一年どこにもいかなかったせいか長期旅行に対して気分が全く乗って来ず……これはよくない傾向ですね……

 一週間フルに使うのではなく、4日か5日くらいでリハビリだなあとおもってます。いや今から計画立てて宿空いてるのか知りませんが。行けるとこを探しましょう。

 

アシモフの科学者伝 - 科学者・技術者総勢30人にわたる伝記短編集

  三寒四温ですね。

 

 前回読んだのがアシモフの書いた化学史本で、個人的には「化学通史を読むならこっから入っとけ!」と言えるぐらいものすごくお勧めできる一冊でした。

 この時アシモフの化学本って初めて読んだのですが、良いなと思ったので追いアシモフをしてみました。今回読んだのがこちら↓

  アシモフの科学者伝
 アイザック・アシモフ
 木村繁訳 竹内均解説
 小学館

 

 中身は特に見ずタイトルだけで買ったのですが、タイトル通り今回スポットが当たっているのは科学者たちです。原題は「Breakthroghs in Science」。直訳すれば「科学におけるブレイクスルー」ですが、かつての訳の通り「科学の壁を破った人たち」について書かれた本です。
 

 取り上げられている科学者の目次一覧がこちら。

 

 アルキメデス
 ヨハネス・グーテンベルク
 ニコラス・コペルニクス
 ウィリアム・ハーベイ
 ガリレオ・ガリレイ
 アントン・ファン・レーフェンフック
 アイザック・ニュートン
 ジェームス・ワット
 アントワーヌ・ローラン・ラボアジエ
 マイケル・ファラデー
 ジョセフ・ヘンリー
 ヘンリー・ベッセマー
 エドワード・ジェンナー
 ルイ・パスツール
 グレゴール・ヨハン・メンデル
 ウィリアム・ヘンリー・パーキン
 レントゲンとベクレル
 トーマス・エジソン
 パウル・エールリッヒ
 ダーウィンとウォーレス
 マリー、ピエール・キュリー
 アルバート・アインシュタイン
 ジョージ・ワシントンカーバ
 ラービング・ラングミュア
 ラザフォードとローレンス
 ロバート・ハッチングス・ゴダード

 

 章にして26、タイトルに総勢30人です。こうして書き出すと多いな!

 

 さて……

 みなさん、何人ご存知ですかね………??

 

 さすがにニュートンを知らないという人はいないでしょう。しかし多分ですが、ピンとこない人もそれなりにいると思うんですよ。分野もいろいろですし、学者に限らず技術者と言った方がはまる人もいますしね。この選び方がなかなかよく、最後まで息切れせず、飽きずに読める感覚があります。
 内容も優しいです。ごりごりと頭を使って読むような本ではないです。でもちゃんと面白いと感じられる距離感で、短い記事なのに「知ってることばっかりだつまんなーい」とは思いませんでした。
 また知っている人の記事でも「へぇそういうことで引っかかってたのか」と新情報もあったりして楽しかったです。難易度調整がほどほどに絶妙。アシモフすごいわ。
 

 一応化学出身の人としては化学畑って何人ぐらい取り上げられるのかなーというところが気になるのですが、化学の人というと、

 ラボアジエ(俗にいう現代化学の父)
 ベッセマー(鋼鉄を作った技術者)
 パーキン(合成色素と有機化学の先駆者)
 マリー・キュリー(言わずと知れた放射線化学者)
 ラングミュア(表面・界面化学の人、初めて人工雨を降らせた人)

 この5人でしょうか。ピエール・キュリーを化学者って言って良いのかよくわからんのですが。物理出身なので……放射線やら原子核の話になってくると物理との境界が微妙です。
 おそらく一番有名なのがキュリー夫人。次点はラボアジエ……?ラボアジエ知名度どんなもん……?鉄の歴史が好きな人はベッセマーが外せないと言いそうです。この中に教科書の定番、周期表を作ったとされるメンデレーエフはでてこないんですねえ。人工降雨を成し遂げた人としてラングミュアが取り上げられるあたりには、書かれた時代の色みが伺えます。
 化学の歴史は実用面からの要請が大きかったせいか、学問としては物理と比較すると格下に見られており発展が遅れた、という点がこの本でも触れられております。そんな化学の世界ですので、「俺の選ぶ化学界の偉人」とか考えても面白いかもしれませんね。本書内では高分子分野が不在ですので、誰か一人選んで伝記を書くなら、とか。
 ……やっぱりナイロンを実用化したデュポンのあの人か?それとも最初の尿素樹脂の人?

 

 

 業績だけでなく生い立ちや為人についても書かれており、とっつきやすい本だと思います。短い偉人伝が集まった形式なのでどこから読んでもどこで止めてもよく、ちまちまと読み進めるには良い感じでした。

 

暖かかったので梅の花を見に行った

 ものすごく陽気の良い週末でしたね。土曜はちょっと風が冷たかったですが、日曜なんかコートいらない気温でした。2月どこ行った。

 

 さて、自分のご近所さんのお庭に梅が植えてあり、結構開花が進んできたので県内ならってことで梅見に行ってきました。

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 JR東海道線国府津から御殿場線へ乗り換えて一駅。下曽我です。4年前にもきたことがあるので二度目ですね。

 見事に御殿場線Suicaトラップにひっかかりましたね。

 御殿場線、ちょっと前までICカードが使えませんでした。自動改札がなかったんですよね。で、その後2019年に自動改札が導入されたということだけ記憶しており、「楽になったなー」なんて思いながら下曽我で下りたら。
 御殿場線JR東海エリア扱いらしい。
 東海道線でいうと熱海より西と同じ扱い。国府津で乗り換えた際にエリア跨ぎの扱いになります。つまり東海道線から行く場合、これまで通り紙の切符がいるというわけです。ここまだ神奈川ですやん!!!
 まあ窓口で精算をしてもらえるのですが、ちょっと手間ですよね。
 ところで沼津から下曽我まできた時の精算ってどうなるのでしょうか。どっちのルートでも値段は一緒かな。だとしたらICが楽ですね。

 

 

 今回は下曽我で下りてメイン会場へ直接向かわず、ちょっとウォーキングをするプランにしました。最近運動不足なものでねー

 コースは小田原市制定の「見晴らしコース」。ダウンロードしたPDFファイルと途中の案内板を頼りに駅を出て左手へ歩いて行きます。迷うような道でもないですし迷っても大事ないです多分。途中一瞬悩んだところがありましたけど結果合ってたし、人里なので普通にGPS入るし。コースタイム2時間ってことは写真撮ったりするし2時間半くらいかな!(なお膝と股関節)

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 遠くにちょこんと見える富士山。梅もいい感じに見頃です。

 

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 山里エリア特有の無人販売激安みかん。存外ずっしりしてるので山歩き序盤で見つけると買うかどうか迷いますよね。

 

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 第一チェックポイント瑞雲寺。曹洞宗のお寺でその歴史は500年前まで遡るそう。
 ここのお庭がすごかったです。広さはありませんが色々な梅が植っていて、正直ここでお弁当食べて帰ってもいいんじゃないかってぐらい見事でした。

 

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 枝垂れ梅いいですねえ。枝垂れって梅でも桜でも結構好きです。華がある。

 名残惜しみつつ先へ進みます。

 

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 そこかしこに大小様々な梅林があり、さらに個人のお宅でも梅の木を植えているところが多く、道中も楽しいです。

 

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 曽我神社。このあたりを束ねる鎮守の神様です。門前の通りまで非常にきれいに整備されていました。さすがに正面からの近接撮影は憚られたのですが、お賽銭箱の向こうに丸い鏡が置いてあります。御神体は社の奥でしょうし、どういう意味があるのでしょうかね。こういうの分からないんだなあ。

 

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 坂を下って、また登って……

 

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登って………

 

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登って登って……

 

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登っ…………

 

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 チェックポイントきたあああああああ

 途中マジで死ぬかと思った(真顔)

 PDFの地図上に小さく「急な坂」と書いてある部分があるのですが、そこが本当に急な坂でしかもそれなりに長いです。どんな九十九折だよこれええええと最初は心の中で叫んでいたのですが最後はその元気もなかった感じです。ネタとしての写真すらない辺りで辛さを察してほしい。

 視界が開けたところにある梅林の景色は最高ですがね!
 富士山もきれいだし。

 

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 あと1時間早ければもう少しくっきり見えたでしょうが、この時すでに午後に差し掛かりつつあり、ちょっと霞んできていました。そもそも家を出たのが1時間遅かったということですねえ。

 先程の六本松を過ぎたら降りに入ります。これというわかりやすい頂上はないです。

 登った分だけ降ります。つまり結構降らないといけないわけです。膝にくるぞー

 

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 ちょっと降って見晴台からの景色。富士山の左に塔ノ沢方面ですね。見晴台にはベンチも置かれており、ここでお昼ご飯にしました。休憩中は結構風が強く、汗が冷える感覚が。歩いてるとちょうどいいんですけどね。

 

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 再出発。カーブの上から見下ろす梅林も壮観です。

 どんどん降ります。逆ルートで登ってくる人に「あとどれくらいですかー」なんて聞かれたりしつつ。降りながらでも感じるのですが、このウォーキングコース逆走でもなかなか辛いですね。

 

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 この辺りまで降りてくればもうゴール地点のメイン梅林間近です。

 

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 とんでもないお宅がありました。これ個人で世話できるんだ……?いや業者さんに手入れをしてもらうにせよすごいですわ。

 

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 ということでゴール!別所梅林です。だいたい予想通り2時間半くらい。すでに関節の痛みが辛い領域でした。二足歩行生物として心配になるレベル。柔軟やろう……

 今回はぐるっと大回りして辿り着きましたが、王道は駅から歩いてまっすぐこちらへ来ます。前回来た時はここのエリアの入り口でお餅を振舞ったりしていました。今年はできないね。残念。

 

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 この会場だけでも結構広いです。多くはこの↑よく見る梅の木ですが、枝垂れ梅ゾーンもあります。

 

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 写真を見てわかるように、畑内部への立ち入りが禁止されていました。傷むからか、それとも密集防止かはわかりませんが。

 

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 川の側で腰を下ろしてぼーっと休憩したのちに帰宅。おつかれさまでした。

 

 ちょうど見頃の時期に素晴らしい天気で、梅が見れてよかったです。かなり良い気分転換になりました。

 今度歩く時は、「里コース」にしよう……(筋肉痛)

化学の歴史 - 化学の発展を通史で知りたい方に

 梅の花がチラチラと咲き始めましたね。

 

 さて今回は正統派の化学史本。珍しく古本屋で買った本ですがなかなかにいい本だったのでご紹介。発売が2010年なのでまだ絶版ではないんじゃかな。

化学の歴史 (ちくま学芸文庫)

化学の歴史 (ちくま学芸文庫)

 

  化学の歴史
 アイザック・アシモフ
 玉虫文一 竹内敬人 訳
 ちくま学芸文庫

 

 いやもう「化学の歴史に興味あります」っていう人はとりあえずここから読んだらいいんじゃないかな?

 

 そんな言い方ができるぐらい良い本でした。初手としてとても良くないです?

 化学の歴史本、特に通史って意外と無いんです。
 例えば元素の発見ストーリーとか、「ゴムの歴史」「化粧品の本」みたいなある材料や製品についての歴史と解説とか、そういうのは割と良くあるんですよ。「トコトンわかる」シリーズみたいな。
 そっちはそっちで面白いのですが、この本には化学という学問がどうやって構築されてきたのか、特に化学の各分野を支える理論部分がどう発展してきたのかまで書いてあって、なんというか一般向け科学書として「質がいい」という感じです。

 化学、だだっ広いから……書きにくいんだとは思うんですよ……現代に近づくほど物理っぽくなってくるし……

 そんなやりにくい分野を、さらに読みやすい文章で綴っているのがこの本のポイントです。訳者の力もあるのでしょうが、言葉の使い方、話の運び方がとても好みでした。痒い所に手が届く、「そこってどうなってんだろ」って思う部分でちゃんと話題が出てくる感じです。

 

 なお著者のアイザック・アシモフはあのSF作家として有名なアイザック・アシモフです。ロボット三原則鋼鉄都市の人。
 アシモフの著作はSFの方しか知らなかったのですが、アシモフ自身が化学を学んでいた、どころかボストン大の講師だったこともあり、結構一般向けの科学書を書いているようなのです。ノンフィクション部門でも賞をとっているということなので、SFに限らずいい本を沢山書かれた人なのだなあと今回初めて知りました。
 この本の読みやすさも、フィクションまで沢山書いてる人ならではのものなのかもしれません。

 

 でこの本はもともとアメリカで物理学習向けの啓蒙書シリーズから始まった一冊であるようです。
 書かれたのは1965年。50年以上前ですね。つまり内容もだいたい50年前です。ここからどれぐらい化学史研究が進んでいるかわからないのですが、それほど大きく外してもいないだろうな、と思えるのが歴史系の本の良さですね。最新分野はすぐ古くなるから……。

 

 一般向けの限界はありますし、分析化学分野なんかはちょっと弱い感じがありますが分光分析のあたりは頑張って書いてるし、化学史を広い目で通して見たい方には強目にお勧めしたい本でした。

 文庫にしては高い?わかる。でも良い本ですよ!!!