BLOCKCHAIN REVOLUTION  ー ブロックチェーンのうたう理念

  梅雨明けないですねぇ。

 

 

 本来だったらオリンピック開幕だったはずの4連休、皆様いかが過ごされましたか。自分は大人しく引きこもっておりました。雨も降ったり止んだりでめちゃくちゃな天気でしたし。

 それで、連休使って金の箔押しが目立つこんな本を読んでいた訳です。 

 ブロックチェーン・レボリューション
 --ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか
 ドン・ダブスコット アレックス・ダブスコット著
 高橋璃子
 ダイヤモンド社

 

 まーたブロックチェーンかよ、という感じですがどうもこの本は「とりあえずこれ読んでおけ」という立ち位置の本であるようでしたので今回頑張って通読しました。

 発売が2016年(原書も2016年出版)なのでやや古いのですが、サブタイトル通りブロックチェーンを使ってどんな未来が可能になるかということを描いた本なので、技術のお話よりは古びていないとは思います。一方で「2016年現在スタートアップとして立ち上がった企業やプロジェクト」がたくさん出てくるのですが、こういう具体的な名前は一体全体何割残っているのか……まあ参考程度ですね。

 

 ブロックチェーンは「安全で・改竄不可能で・効率よく・プライバシーも守りつつ・透明性が高い・信頼できる」情報共有法なのだ、ということは繰り返し主張されますが、この本にとって技術的な中身は脇道です。

 本書は「この特性を持つツールによって何が実現可能か」、もっといえば「〇〇のような社会が理想だが、それはブロックチェーンを使えばできるのだ」という、理想の社会について描いた本、ブロックチェーンの実現する理念について書き留めた本です。

 

 そんなものなので、まあ中身がね。キラキラしてるんですよね。

 アンチ政府・アンチ大企業・アンチ仲介業者であり、
 親生産者・親個人・親起業家・親コミュニティ

 基本的な立ち位置がここで、また想定されてる個人というのが理性的で合理的で真っ当な個人なんですよ。妙なこと考えるのは少数派で、そういう人は損するように設計されてるから、と。いやあ実にアメリカだなあ!!

 ブロックチェーンの第一応用先であるビットコインも政府をすっ飛ばす通貨なのでリバタリアンたちとも相性が良い、というのは驚くことではないのですが、改めてこうやって書いてて思うのです。

 

 個人を、コミュニティを、信用しすぎなんじゃないか、と。

 

 謳われている理念そのものは立派なもので、広がる格差を何とかしましょうとか、働く個人にお金が届きやすくしようとか、大企業が好き勝手している個人情報を取り戻しましょうとか、あらゆる文書改竄を不可能にしましょうとか、それによって選挙の正当性を保ちましょうとか。そうですね、そうできたらいいですね、と相槌を打つのに大きな抵抗はないんです。

 でも、その実現のために「強固な個人が必要なのです」と言われた瞬間、むずかしいんじゃないかなあああと思わざるを得ないんです。大抵の個人、責任負いたくないでしょう?「分からないから決めてくれ」なんてありふれ過ぎた言葉じゃないですか。そもそも自分についての何から何までコントロールするだけの暇もないでしょう。

 結局誰かに大部分を任せることになるし、そこが情報を集めることになるんじゃないかなと、どうしても思ってしまうのです。

 

 インターネットとwebの登場によって広がった自由により、かつて是正されるかに見えた格差は、しかし期待されたようにはならず、むしろ富めるものがより富む結果となってしまった。しかし、ブロックチェーンならば!!

 

 そういうことを、夢見ているのはわかります。「しかしブロックチェーンならば」が実現すればそれはすごいことだと。どうにかwebの二の舞にならないように、うまく発展していってくれるといいなあと思います。

 

 

 ちなみに読み終わるまでにとても時間かかりました。1ヶ月ぐらいかかった。ハードカバーってのもあるんですが、正直こういうビジネスの話ってどうも好きになれない……うん……完全に私の側の問題です。ブロックチェーンの社会面についてわかりたかったんです。ちょっと分かったからよしとしましょう。