三寒四温ですね。
前回読んだのがアシモフの書いた化学史本で、個人的には「化学通史を読むならこっから入っとけ!」と言えるぐらいものすごくお勧めできる一冊でした。
この時アシモフの化学本って初めて読んだのですが、良いなと思ったので追いアシモフをしてみました。今回読んだのがこちら↓
アシモフの科学者伝
アイザック・アシモフ著
木村繁訳 竹内均解説
小学館
中身は特に見ずタイトルだけで買ったのですが、タイトル通り今回スポットが当たっているのは科学者たちです。原題は「Breakthroghs in Science」。直訳すれば「科学におけるブレイクスルー」ですが、かつての訳の通り「科学の壁を破った人たち」について書かれた本です。
取り上げられている科学者の目次一覧がこちら。
アルキメデス
ヨハネス・グーテンベルク
ニコラス・コペルニクス
ウィリアム・ハーベイ
ガリレオ・ガリレイ
アントン・ファン・レーフェンフック
アイザック・ニュートン
ジェームス・ワット
アントワーヌ・ローラン・ラボアジエ
マイケル・ファラデー
ジョセフ・ヘンリー
ヘンリー・ベッセマー
エドワード・ジェンナー
ルイ・パスツール
グレゴール・ヨハン・メンデル
ウィリアム・ヘンリー・パーキン
レントゲンとベクレル
トーマス・エジソン
パウル・エールリッヒ
ダーウィンとウォーレス
マリー、ピエール・キュリー
アルバート・アインシュタイン
ジョージ・ワシントン・カーバー
ラービング・ラングミュア
ラザフォードとローレンス
ロバート・ハッチングス・ゴダード
章にして26、タイトルに総勢30人です。こうして書き出すと多いな!
さて……
みなさん、何人ご存知ですかね………??
さすがにニュートンを知らないという人はいないでしょう。しかし多分ですが、ピンとこない人もそれなりにいると思うんですよ。分野もいろいろですし、学者に限らず技術者と言った方がはまる人もいますしね。この選び方がなかなかよく、最後まで息切れせず、飽きずに読める感覚があります。
内容も優しいです。ごりごりと頭を使って読むような本ではないです。でもちゃんと面白いと感じられる距離感で、短い記事なのに「知ってることばっかりだつまんなーい」とは思いませんでした。
また知っている人の記事でも「へぇそういうことで引っかかってたのか」と新情報もあったりして楽しかったです。難易度調整がほどほどに絶妙。アシモフすごいわ。
一応化学出身の人としては化学畑って何人ぐらい取り上げられるのかなーというところが気になるのですが、化学の人というと、
ラボアジエ(俗にいう現代化学の父)
ベッセマー(鋼鉄を作った技術者)
パーキン(合成色素と有機化学の先駆者)
マリー・キュリー(言わずと知れた放射線化学者)
ラングミュア(表面・界面化学の人、初めて人工雨を降らせた人)
この5人でしょうか。ピエール・キュリーを化学者って言って良いのかよくわからんのですが。物理出身なので……放射線やら原子核の話になってくると物理との境界が微妙です。
おそらく一番有名なのがキュリー夫人。次点はラボアジエ……?ラボアジエの知名度どんなもん……?鉄の歴史が好きな人はベッセマーが外せないと言いそうです。この中に教科書の定番、周期表を作ったとされるメンデレーエフはでてこないんですねえ。人工降雨を成し遂げた人としてラングミュアが取り上げられるあたりには、書かれた時代の色みが伺えます。
化学の歴史は実用面からの要請が大きかったせいか、学問としては物理と比較すると格下に見られており発展が遅れた、という点がこの本でも触れられております。そんな化学の世界ですので、「俺の選ぶ化学界の偉人」とか考えても面白いかもしれませんね。本書内では高分子分野が不在ですので、誰か一人選んで伝記を書くなら、とか。
……やっぱりナイロンを実用化したデュポンのあの人か?それとも最初の尿素樹脂の人?
業績だけでなく生い立ちや為人についても書かれており、とっつきやすい本だと思います。短い偉人伝が集まった形式なのでどこから読んでもどこで止めてもよく、ちまちまと読み進めるには良い感じでした。