帝国の繁栄と崩落

一回書いた記事が

なんでかネットの接続が一瞬切れたかなんかで

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全部消えた

なんなんだよもう……

オーストリアの歴史

 リチャード・リケット著 青山孝徳訳

 成文社

オーストリア通史。

有名なハプスブルク家についてだけでなく

その前後もちゃんと書かれ居る本は実は珍しい。

オーストリア史に興味出てきたというひとには丁度いい。

残念ながら絶版になってますがね!

ブックオフオンライン万歳!

もともとの英語の原本は

「知識はあるけどそれぞれの人物がどんな人かさっぱり分かっていない旅行者」

をターゲットに書かれている模様。

なので読みやすいです。

世界史初心者でもわくわくしながら読めました。

巻末年表のおかげで迷子になることもありませんし。

で。

オーストリアって戦争……苦手ですよね……

決定的に勝つというシーンが無いんだよ。

オイゲン公がトルコ負かしたところぐらいの様な気がするよ。

領土拡大し過ぎというのが大きな理由としてはあるんですが、

大分小さくなってからでも負けます。

多民族国家の苦悩とでも言うべきか。

中央への忠誠だとか「国民」としての一体感とか、

そういうものが無いと軍隊って霧散してしまうんですね。

壊滅とはまた違った怖さ。

欧州世界の東の砦は

東欧を統べる大帝国を一気に築き

しばらくの間繁栄を謳歌した後に

ゆっくりと、時間をかけて崩壊していく。

民族自決の考え方が浸透していく中で、

WW1の引き金は引かれる。

イタリアは背後から匕首を突きつける。

黒い。イタリアが黒い。

皇帝は国外へと追われ、領土は解体される。

オーストリアはまさしく「残り物」でしかなかった。

帝国は終わりを迎えた。

同時にオーストリア共和国が生まれた。

しかしWW1後の混乱っぷりは凄まじい。

経済やばい。

更にナチによる工作がえげつない。

当時の首相は独立のために奔走するも

最終的に、国民投票を前にして、ドイツから最後通牒が送られる。

そしてドイツ軍の進攻。

オーストリアが地図から姿を消すことになる。

WW2においては如何に独立するかに焦点が当たる。

各州では抵抗運動が活発に行なわれた模様。

1945年3月12日に独立宣言。

その後連合国による分割統治が始まる。

連合国の仲の悪さっぷりがみてて面白いところです。

ウイーンの街は戦争でボロボロにされていたけれど

ウイーンフィルが4月の末にもう演奏会やってるのにフいた(笑

欧州のWW2終了って5月やろ。お隣は戦争中やろ。

オーストリアどんだけだよ。

オーストリアらしすぎるよ。

音楽命にもほどがあるってもんだよ。

それでこそオーストリアだ。

1955年は大切な年ですね。

主権の回復と中立宣言の年。

残念ながらこの本、書かれたのが1994年。

なのでオーストリアEU加盟(1995)前なんです。

中立の意味もまた変わってくるでしょうから、

この著者の論評を聞きたかったなあと思います。

全体を通して面白かったです。

一気に読めました。

いちいち言い回しがかっこいいんだよー!

WW1辺りの歴史が気になる私にとって有り難い本でした。