人間らしさ、とは?

熊本大分の地震心配です……

大きい余震が続いてますね。

中越地震の時だったかも3つほど大きな地震がきて、

後から余震→本震→余震に後から修正された気が。

おまけに今夜から雨という。

こればっかりはどうにもならないとはいえ。

さて最近囲碁の世界でコンピュータがプロ棋士に勝ったとか

GoogleのAIがヒトラーマンセーしたとか

女子高生AIのりんながぶっとんでるとか

巷ではAIがちょっとした話題となっています。

で、勝ったまま読まずに積んであった本を引っ張り出してみました。

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か

小林雅一

講談社現代新書

1年ほど前に出版されていた本。

作者はKDDI総研の人。

AIとは何か?どういう発展をして来たか?

ディープラーニングとは?という話が

非常にざっくりと書かれています。

入門のとっかかりとしては非常にいい感じ。

ただざっくり書こうとしすぎて

ちょっと書きにくそうだなというのは感じます(笑

脳科学の発達と絡み合って進化していく辺り、

やっぱり科学は環境が整わないとモノにならないんだなあとしみじみ。

どこかの分野だけ早過ぎちゃだめですね。

この著者が危惧しているのは、

AI技術がGoogleなどの米国企業に押さえられつつある現状。

これまでに日本でも何度か「AIブーム」は有ったのですが

使えるものが作れず終わってしまっていた様です。

ロボットなどのハードは得意とする分野なのですが

どうにもソフト面の開発は苦手……というより、

おそらく真面目に完成形を出そうとしすぎるんだとおもいますこの国。

中途半端でも良いから公表してアピールして、

自分たちの規格を世界標準にするということが

米国企業はめちゃくちゃうまい。

ああPCのOSでも見た光景。

インターネットを通じて得られる莫大な情報から学んでいく最近のAI。

Googleマイクロソフトが強いのはそういう情報網をもっている点。

機能特化のプログラムから汎用型のAIへ移行していく中で、

このまま基本フォーマットを握られてしまっては今後勝負できません。

従来型のロボットがすぐに無くなるとも思えませんが、

iPhoneの展開も1年か2年だったからなあ……動く時は早い。

この国のAI開発も間に合うと良いのですが。

汎用って難しいんですけどね。

それこそ何を学ばせるか、ってところはまだ人間に委ねられていますが、

ほんとにネットからランダムに情報を拾うようになったら……

でもネット情報ってそれこそ価値観も多様過ぎて収集つかなさそう。

善悪判断とかどうするのかなあ。

「法ですよ、パートナー」って声が聞こえてきそうですが……(SF脳

法律ってそんな四角四面のものでもないしなあ。

だから裁判所があるのだが。

ああ、人間も出来ていないんだよな。

この本のもう1つのテーマは、

「人間の優位性って何?」です。

「創造性」、なにかをゼロから生み出す能力だというのがひとつの答えかと思います。

その最たる例が音楽です。

本当に?

EmmyというAIがいます。

コープという音楽大学の教授が作ったAIなのですが、

過去のバッハの曲300曲をデータベース化し、

AIが解析してさらに多少のランダム要素を加えて新しく曲を作ったところ、

多くの音楽評論家たちがEmmyの曲を

「本物のバッハの曲」だと感じた、という実験結果が紹介されています。

もちろんEmmyは何曲も作っていて、

その中からコープ教授が良いものを選ぶ訳では有りますが、

散々音楽家の心だの魂だの言ってきた音楽界にとってはかなりの衝撃だった模様。

ここから分かったのは、

「そもそも人間も過去の曲を組み変えて、

 少しだけオリジナル要素を混ぜて新たな曲を作っているに過ぎない」

という現実です。

人間って、実は大したものじゃないのでは?

という問が投げかけられます。

コンピュータだって学ぶ。創る。知性を持つ。

どんなものだい?人間ってのは。

そもそもそんなに立派なものかい?

著者は「知能は人間の最後の砦ではない」として、

それを上回る「何物か」を持つのだとして、

AI開発は進められるべきだしそれによって人間は損なわれないと主張します。

私なんかは元々人間は大したもんじゃないだろ、

大したもんじゃなきゃダメか?という思いが少なからず有って、

これは別に自虐的思考でもないと考えてます。

AIが人間の上をいくならそれで良しです。

なんでかSF界って「害悪な人間は排除する」タイプとか

「無能な人間を統治する」タイプとかが多くてディストピア化するんですが、

AIが自律し、人間が教えなくても自分で学んでいくようになった時、

この世界はどうなるんですかねえ。

そんな世界が来るのかな。

ディストピアであっても、見てみたいな。