病は気から

評価: サイモン シン,エツァート エルンスト 新潮社 ¥ 907 (2013-08-28)

 

ご無沙汰しております。

管理人は元気です。

扇風機がお亡くなりになったせいで

早々にクーラーを入れるはめになっておりますが。

まだ梅雨明けてないぞー。

 

最近色々読んではいたのですが

取りあえずこれ。

 

代替医療解剖

サイモン・シン エツァート・エルンスト著

青木薫

新潮文庫

 

お久しぶりなサイモン・シン

ご多分にもれず青木氏の訳本です。

安心感ある組み合わせです。

が。

この本のサイモン・シン……語気荒くない?(笑

それとも訳の問題?

なんだか調子が強めです。

共著者さんの書き方なのでしょうか?

気のせいかしら?

まあいいんですけども。

 

 

さて「代替医療」というと、何を思い浮かべるでしょうか。

 

ここで言う医療は現代社会において医者たちが主に行なっている医療で、

19世紀〜20世紀に発展してきた「科学に基づいた医療」を指します。

それの代替、なので

「科学的な裏付けが無いけれど通常医療の代わりの用いられている」医療、

ということになります。

 

では医療でいうところの科学的な裏付けとは?

それは「臨床試験できちんと効果がある事が証明されている事」。

例えばある植物が効くらしいというときに薬効成分が特定されている必要性は無く、

病気に対してほんとに効くのか効かないのかという単純な話。

その証明はきちんとした試験の元になされていますか?

という問にクリアしてこそ通常医療として認められます。

これが今の科学的な医療。

この方法を確立するまでの紆余曲折も面白いのですが本文に譲ります。

瀉血の話とか書いてありますよ!

 

その問をクリアできていないのが代替医療で、

この本では大きく4つ取り上げられています。

 

ホメオパシー

カイロプラクティック

ハーブ療法

 

鍼は日本ではすっかりおなじみ、

中国由来の鍼灸の鍼です。

ツボに鍼を打つ、あれです。

ホメオパシーはドイツ発、

「体にとってのある毒によって体調が悪くなった時には、

 その毒を物凄く薄めてたものを少しだけ服用するとよい」

という思想の治療法で、ネットではたまにお見かけする代替医療です。

カイロプラクティックは聞き慣れませんが、

説明書きを読んだ感じだと「きつい整体」です。

骨のゆがみを直してバランスを整える。

ハーブはまあ、ハーブです。

植物(たまにキノコ)由来のエキスを使って行なう治療。

 

 

この並びを見て、私は思わず

「え、鍼ってホメオパシーと同程度のものなんだ」

と思ってしまいました。

だってホメオパシーといえばネット上の怪し気な商売で、

そのネット界隈でも散々否定されていて、

そんなもの信じてるのはアホかなんかで、

一方鍼は街中にも店は沢山有るし、

実際やった人はよかったという話も聞くし、

スポーツ選手なんかもやってなかったっけ?

と。

 

いやあ、怖いですねえ。

慣れと宣伝の力ってのは。

 

確かに鍼ってのは「気」だの「経穴」のという思想に基づいていて、

通常医療からするといまひとつ信用の置けないものです。

「気」があるかないかは別にしても本当に効いているなら良いのですが、

臨床結果は残念な結果の方が多い模様です。

 

鍼の臨床試験は、

ホメオパシーのそれより難しくなります。

なにせ鍼を刺したか刺していないかなので、

ブラインド試験をやるにしても

ただの砂糖玉なのかレメディなのか味では分からないというのとはちょっとレベルが違う。

始めのうちは浅く刺したり、

経穴」を外して打ったりしていた様ですが、

それでは不十分として「偽鍼」まで開発します。

この徹底っぷりです。

で、結果は

「いくつかの痛みと吐き気には、効いてる、かも、しれない……アヤシイけど……」。

 

ということで、ほとんどプラセボ効果、ということでした。

残念。

プラセボ効果には凄まじいものが有りますから、

まあプラセボでもいいじゃない治るなら、と思うかどうかは人それぞれですが、

(著者たちはこの考えにも断固反対派)

どうせ鍼やって「経穴」を刺激するなら、

マッサージ効果が単純に狙える指圧の方がよさそうねというのが個人的な感想。

軽めの、肩こりが一時的に取れるぐらいのがいいかな。

 

 

本書では上記4つの代替医療が批判の対象ですが、こののなかにも温度差が有って、

ある種のハーブは鬱に効く事が分かっていますし、

それらは代替医療から通常医療のほうへ取り入れられていきます。

一方でカイロプラクティックには頸椎を痛める可能性がある施術が有り言語道断、

どうしても試したい時は首には触らない様に頼むべし、だそうです。

また本の最後には代替医療に共通する思想(自然が良いとか)や

代替医療を世に広める人々をばっさばっさと切り倒していきます。

この当たりのけんか売ってく感じ、嫌いじゃない(笑

いやけんか売ってるつもりは無いと思うけど勝手に買う人は居そう。

 

 

しかし代替医療って「何にでも効く」というふれこみが多いのですが、

そういうものは大抵アウトですな。

どれをとっても、万能薬や万能治療法は無いのです。

最近水素水とかいうのが流行ってるらしいですが……

まあ薬っぽい売られ方してないので

これを飲んで普通の薬はやめてしまうという事もないだろうし……

水を飲むのは大事な事だし……

や、お金の無駄ですわな。