一杯の珈琲 一時の安らぎ

 

寒い日が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか。

関東平野部でも積雪がありました。

私の住む街は海辺にあるので

次の日にはだいぶ溶けてしまいましたが。

あったかい(全国比)

やっぱり寒い(例年比)

 

さて最近読んだのがこの本。

 

珈琲の世界史

旦部幸博 著

講談社現代新書

 

ちょっと前に「コーヒーの科学」のレビューを書いたのですが、

同じ著者が「科学」に収まりきらなかった歴史パートを

改めて一冊の本にまとめたのがこの本です。

歴史なので出版社も違うんですね。

科学はブルーバックスでした。

 

「科学」は植物としてのコーヒー(植生・分類)や

抽出過程による成分変化にスポットが当たっていたのに対し、

こちらは「コーヒー」が成立するまでの過程や

ある種類のコーヒーがどのように広まっていったかという背景や

カフェ文化の広まりについて書かれております。

 

コーヒーって

「植えた先でほとんど枯れたけど1本だけ残った」とか

「盗み出した1本の苗木から〇〇のコーヒーは始まった」とか

「たまたま残っていた1本の老木から奇跡の豆が」とか

この「1本から増えた」パターンが結構あるというのが驚きでした。

コーヒーノキ(本当にこういう名前)が自己受粉可能だからなのですが、

それにしても1本から増えるってのはなかなかに奇跡的なことだと思います。

なんかあったらすぐ全滅ですからなー。

ほんとかよ、って思うこともあるのですが、

当時の航海にかかった時間などを考えると

コーヒーノキを広めるのも楽でなかったろうなとは想像できます。

 

他にも

コーヒーは宗教的に認められるのかという議論が紛糾したイスラム圏、

トルコ趣味の流行とともにコーヒーが広まったパリ、

かつてはコーヒー先進国だった現・紅茶の国英国、

苗木が伝わる物語がラブロマンス()の南米のコーヒー大国ブラジル、

2度の世界大戦がコーヒー貿易に与えた影響、

コーヒー価格の暴騰をうけて生まれた「アメリカン」、

日本のガラパゴスコーヒー文化、

さび病にまつわる阿鼻叫喚、

エスプレッソを広めた巨人スターバックス………

 

確かに前作の「科学」に押し込んでしまうには勿体無いだけの情報量でした。

コーヒーにまつわるエトセトラ歴史編、

コーヒーのお供にはとても良いボリュームでした。

 

(薄暗い歴史部分については薄めて書いてあるので

飲んでるコーヒーが喉に引っかかることは多分ない……)