鳥類学者が全力で踊る求愛ダンス

 

いきてま。

 

台風だの何だの大変ですが皆さまお元気ですか。

こちら三連休なのに同期の結婚式で自由がきかずやや萎え気味です。

いやめでたいんですけどね。

ご祝儀……重い………

 

 

さて今回読んだ本はこちら↓

 

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る

川上和人

新潮文庫

 

以前「鳥類学者だからって鳥が好きだと思うなよ」をレビューしたことがあるのですが

それと同じ著者の書いた本の文庫版。

夏休み子ども科学電話相談」でも有名。

 

タイトルまんまの本でした。

鳥類学者の著者が恐竜への愛を滔々と語る、一気読み型の本。

 

昨今の恐竜研究の進歩は凄まじいものがあります。

 

恐竜と言ってイメージするのはどんな姿でしょうか?

有名どころは何といってもティラノサウルスでしょう。

つい最近話題になったのは北海道のハドロサウルス。

恐竜より首長竜や翼竜が好きな方もいるかもしれません。

私の推しはステゴです。

 

図鑑に描かれるその姿は多種多様ですが、

一昔前までは

「茶色・灰色〜やや緑っぽいような体色をした巨大な爬虫類」

でした。

一時は地球上の支配者として君臨し、

そして白亜紀の最後に一斉に滅びたというのがロマンをそそる存在でした。

 

しかし!

最近の研究によって

「恐竜の進化した系統の一つが今の鳥類」

ということがわかってきました。

恐竜と関連のある生物となると

やはりワニやトカゲも該当するのですが、

これらは恐竜が恐竜然とする前に分岐したようです。

ワニと恐竜のご先祖が同じ。

そして恐竜の子孫が鳥。

鳥も恐竜も直立二足歩行。

 

恐竜は滅びてはいなかった。

 

「ならばどういうルートを辿って?」と進化過程に頭をひねり、

「鳥から遡って恐竜の姿や行動を予測しよう!」と膨らませた想像を詰め込んだのがこの本です。

鳥類についてはプロ中のプロである著者が

骨の形状や重量、羽毛の様子などを比較しながら話を展開するので

想像に説得力があり面白いんです。

 

最初の「鳥」は滑空レベルだったろう、

木の上へ進出した理由は何だったのだろう、

翼竜もいたからきっとこそこそ生きていた、

羽毛があったということは体はカラフルであったはずだ、

尾羽は最初何のために生まれたのだろうか?

いつまで歯はあっただろうか?

恐竜の絶滅はどんなもので、

鳥類になりかかっていた恐竜はどのようにそれを乗り切り、

空の覇者となっていったのだろうか……?

 

 

恐竜大好きな著者が綴ったラブレターと冒頭にありますが

次々話を繰り出し展開する様子はさしずめ求愛ダンスといったところでしょうか。

この軽妙な文章は多分めちゃくちゃ考えられてかかれたものだと思うのですが、

素敵な挿絵も相まって笑いながら読める本でした。