国際周期表年2019記念シンポジウムに行ってきた〜午後後半の部

JUGEMテーマ:日記・一般

 

久しぶりに本格的な雨が降りました。

 

どうもこんばんは。

2月が終わりましたね。

今年度もあとひと月、気を引き締めてゆっくりと参りましょう。

 

 

さてシンポジウム午後の部後半戦の講演者は2人。

だんだん忘れつつあるぞ気をつけろ。

こういう文章を一気に書き上げられる人になりたい。

 

 

7 アジア初

世間を騒がせた113番元素ニホニウムの誕生話。

実験開始以前には理研に必要な装置がなかったため、

まずそれを作るところから始めましたということでした。

 

いきなり本番というわけにもいかず、

ちゃんと使えるかどうかを見るために

まずはすでに世界で合成されている元素たちを何種類かを練習合成。

確かにこの装置で元素合成できますね、ということを確認します。

この過程は難なくクリア。

むしろさくさくっと合成できています。

なお今でも世界トップクラスの合成効率を持つ装置だそうです。

理研という一組織が持ってるの、すごいですね。

 

2003年に本実験が始まり、翌年の2004年には1個目の新元素が!

翌年には2個目の合成にも成功します。

 

この装置なら一年弱に1個ぐらいで出来るのかな?

そんなことを、先生方が考えたか考えなかったかまではわかりませんが、

2個目まではまあ順調にきてました。

 

しかしそこから7年間、成功がありませんでした。

 

7年間。

 

毎日毎日「今日も何もありませんでした」。

 

これよく続きましたよね……予算とかさ……

興味を持ってきてくれる院生にはこういう世界だということを伝えるそうですが、

しかしそれでも入った院生、現実として修論書くのに何年もかかったんだろうか………

 

待つこと7年でようやく、3つ目を観測。

しかも見たかった崩壊パターンが見えた。

 

ニホニウム3つ作るのに、亜鉛ビスマスの原子をぶつけ続けること400兆回。

根性ですね。

「何もありませんでしたっていうのが大事なんです」

なんておっしゃってましたが絶対しんどいですって。

 

今後の研究としてはニホニウムの物性を調べたいそうです。

ニホニウムは金属かどうかに興味があるらしい。

続報が楽しみです。

 

 

8 IUPAC

最後の公演はIUPACに所属されていた先生による、

新元素の認定と命名についての裏話的な講演でした。

 

IUPACとIUPAPの共同で運営されてる会議体があり、

新元素とその名前、シンボルの承認はそこでされております。

 

国と国との覇権争いがむき出しになる、

そんなどろっとした世界が垣間見えました。

 

そもそもロシアが「IUPAC周期表」の名前がご不満とか(メンデレーエフの名前を入れたい)。

「元素の発見はどこが最初か」=プライオリティを認定するところが一番大変であるらしいとか。

 

しかたないね。にんげんだもの

 

プライオリティがどこにあるかを決めたら、そこに命名権が与えられます。

こういう名前で、スペルで、記号はこれにしますというのを提出するわけです。

元素合成が認められた段階では「ウンウンエンニウム」とかそんなですからね。

ニホニウムウンウントリウムでした。

113番元素だから、un-un-tri、に元素らしく-umってつけるんです。

 

命名の際にIUPACから申請のあったところへ送られるメールをちょっと見せてくれました。

コペルニシウムが最初シンボルCpで提出されたらしいのですが、

「これこれこういう理由でCpはよくないから他のにして」と差し戻すメールです。

文字はよく読めなかったのですが、先生曰く格調高い文体で書かれているそう。

差し戻し通知メールまで格調高いんですね。

心へのダメージ大きいぞそれ。

また差し戻すためには強い理由がいくつかいるらしいです。

今はCnとなってますね。

 

ニホニウムについては米露とプライオリティを争っていたのですが、

まあまあ理研かな……という感じになったのが2015年の4月。

その後(多分色々外に出せないんだろう何かしらの)理由があって遅れたけど大晦日に正式決定の通知となりました。

早朝だったらしいです。

……職場にいたんですかね、先の先生。

 

元素の種類は100と少し、

そこから生み出される世界の多様性に目を向けて欲しい、とのことでした。

 

 

これにて全講演は終了。

ここから質疑タイムに入ります。

結構面白かったのでここまで頑張って記事にしたい……!

 

次回へ続く。