重さとはエネルギーであるからして

 

一月も半分が過ぎました。

いかがお過ごしですか。

インフルエンザで大変だという話をちらほら聞きます。

どうかお気をつけを。

 

さて今回読んだ本は、

ちょっと前に参加したシンポジウム関連です。

 

新しい1キログラムの測り方 科学が進めば単位が変わる

臼田 孝

講談社ブルーバックス

 

度量衡改定関連の本。

タイトルはkgにフォーカスされてますが、

kgとmolの関連性が密接であるためmolについての解説も結構多いです。

その他A(アンペア)とK(ケルビン)についての改定についてにも触れられております。

読んで分かったのですが、電流ってなかなか難儀だな……

あとカンデラあまりに自分と接点がなさすぎてわからん………

 

この本の本題、キログラムがプランク定数から決められるわけ。

 

そもそも現在、kgは原器に頼っています。

「こいつの重さが1kgだーー!」という錘があるのです。

1889年に作られました。

この基準、10万年は大丈夫だと思われてました。

しかしどうやらその重さが…ずれてきている……?ということがわかり、

原器はやめましょうという話が持ち上がったという次第です。

 

アインシュタイン大先生によれば、

   E=mc^2

さらに光子1個の持つエネルギーは

   E=hν

ゆえに

   m=hν/c^2

ということで、(プランク定数h)×(光の周波数ν)÷(光速cの二乗)が質量です。

プレンク定数と光速を定義値とすれば、

あとは光の波長だけでkgが決まります。

赤色の光か青色の光かで光子1つのエネルギーが変わるので、

「○色の光の光子いくつか分のエネルギー/光速二乗」がちょうど1kgという。

光速はすでに定義値になっているので、あとはプランク定数です。

 

「めんどくさいからここが1でよくね?」と言いたくなるのですが、

そうすると今の世の中に多大なる影響を与えてしまいます。

なるべく日常に影響のないようそっと移行する必要があります。

しかもどうやらキログラム原器のずれが50μgくらいなので、

これ以上の精度で定数を求めなければなりません。

 

かくして錘をプランク定数へ写し取る、精密測定国際プロジェクトが発足しました。

 

方法の1つは「キッブルバランス」という天秤で重さを電子の電荷(電気素量)とプランク定数へ結びつける方法。

もう1つはシリコン球の重量を体積と格子定数からアボガドロ数と結びつけてプランク定数へ変換する方法。

 

後者の測定に関わったのが日本の産総研です。

著者はここの人というわけ。

 

著者のプロジェクトに限らず、

いかに精密に測定するかが考案され実証される様がすごく気持ちいい。

イデアがすごい。

こんなこと言っては何ですが、よく考えますねこれ。

科学の進歩とともにどんどん精密測定手法が編み出されていきます。

あっちの進歩がこっちを進め、

それのおかげで問題が解決する。

まさに計測技術は基礎科学の元という感じがしました。

 

kgの改定がすぐさま科学や社会の進歩まで結びつくかというと

今すぐ劇的な変化が起こることはなさそうですが、

なにぶんテクノロジーも精密を極めてきている昨今ですので

そのうちこの新定義のおかげでブレイクスルーが起こるかもしれません。

何せ1kgだった目盛りが36桁細かくなりましたからね。

シンポジウムでも言ってましたが、未来に人類に期待です。