パートナー

1年の半分が終わりましたが皆様お元気ですか。

年度の終わりが3月に来るせいか

前半ってやけに短い気がします。

4月からは3ヶ月か……早いもんだ。

さて古典SFシリーズ第何弾?

鋼鉄都市

アイザック・アシモフ著/福島正実

早川書房

言わずとしれたアシモフ

アシモフと言えばロボット、ロボットと言えばアシモフ

ロボット三原則の人。

今までは短編しか読んだこと無かったんで

がっつり読んでみましたよー。

話としては王道のSF。

空気すら管理された鋼鉄の閉じた巨大要塞。

高度に合理化された「シティ」の中で人々は暮らしている。

地球は80億の人口を抱え、食糧を含めた資源問題が深刻。

それ故に全てが管理され、市民には階級が有り、

階級に応じた住まい/食事/その他特権を持つ。

結構ギリギリな状態に思えるが、

「このままだとどうなるんだろう」みたいな不安感は市民には無い。

基本はシティが有れば大丈夫、といった風。

ただやっぱり「懐古趣味」の人々は一定数存在する。

一方で「宇宙市」には宇宙人が暮らす。

彼らは元地球人だが、シティ形成前に地球から外の惑星に入植した人たち。

もはや別種。

長命だが病気に対する抗体を持たないために地球人との接触は基本的にしない。

地球よりも発達した文明を持っていて、その気になればシティを攻め滅ぼせる。

過去に地球人側との交流をざっくりすっぱり遮断したために

地球人の不満を爆発させたとこがあり、

いくらかましになったとはいえ未だに地球人と宇宙人の関係性はかなり悪い。

そしてこの物語のキーになるロボット。

シティには計画的にロボットが配置されていっており、

そのせいで人が職を失うということがよくあることになりつつある。

おまけにロボットはロボット然としていて、

見かけもさることながらいまいち融通が効かず、

それでいて愛想よく見せるために「笑う」ものだから人々の不満はMaxである。

人々は完全にロボットを敵視していてたまに暴動が起こりロボットがバラされる。

そんな状況の中でのお話。

主人公は警察官のイライジャ・ベイリ。

「宇宙人が殺された、宇宙市はこれを地球人の仕業だと思っている」。

そんな地球にとっては大ピンチな状況で捜査を命じられる。

一歩間違えばシティ滅びる。やばい。

この捜査のパートナーは宇宙人ご指定の宇宙製ロボット、R・ダニール・オリヴォーだ。

人間そっくり、専門家が見ないとロボットとは分からない程精巧。

しかもイケメン。

とはいえイライジャはロボットだと知っており、

大丈夫かいなこのコンビでと思うほどにギスギスした空気で捜査は始まる。

ダニールは終止涼しい顔してるんだけどね。

イライジャがね(苦笑)

殺人の犯人とか、宇宙人の思惑とか、

地球はいかに有るべきか論争とか、

見所は沢山有るのですが、

面白いかったのはイライジャとダニールの距離感の変化。

イライジャのダニールを信頼していく過程も良いですが

ダニールの変化がちょっと面白いの。

腹立つぐらいに理路整然としてて彼(ら)のロジックに従って動くのに、

最後には「許す」ような行動をとる。

それもひょっとしたら「彼が役に立つから」というのが有るかもしれないけれど、

言った本人が驚いているところを見ると、

正義の階層がほんとに変わったのかな。

「パートナー・イライジャ」と呼ぶダニールは、

「宇宙人」からはすこしずれたのかもしれない。

彼らが夢見るのは人とロボットの共生する新しい世界。

シティの合理性に始めからロボットを加えて、

生まれるのは一体どんな世の中だろう。

主人公の思うように、ロボットを使いこなせる世界だろうか。

宇宙人たちの作る社会の再現だろうか。

あるいはロボット中心の社会になったりするだろうか。

上手くいくのかいかないのか、

それによって地球側の問題が解決するのか、

そんなものは運もあるだろうけれど、

このままではジリ貧の地球が何かのきっかけで崩壊するより先に

シティの外に眼が向くようになれば未来はまだ有るのかな。

次は何読もうかしらー

歴史小説が一番縁がないジャンルなんだけど

どこ辺りから手を出すべきか分からん。