豪傑で破天荒な自由人

評価: --- --- --- ()

 

秋の夜長は読書の日、などと思いつつ、

ゆっくりじっくり読んでいたら時間がかかってしまった。

 

最近積み本が増えて仕方がないですが、

タイトルぐらいは聞いたことがある人が多いのではと思われる

この本を読んでおりました。

 

ご冗談でしょう、ファインマンさん(上) (下)

R. P. ファインマン

大貫昌子

岩波現代文庫

 

いやあ。名本でしたわ。

ノーベル物理学賞をとった米国の物理学者ファインマン

エピソードごとに人生を振り返る自伝。

ファインマンの人となりがよく分かります。

ええ。

 

とんでもなく好奇心旺盛で、

なんでも経験したいという行動力があり、

やり遂げる根気と器用さがあり、

ずば抜けた集中力があり、

大物相手にも物怖じしない胆力があり、

なにより、女の子に目が無い(笑)

 

いやほんと女好きだよこいつ!!

どこ行っても女の子をひっかけること考えてるよ!!

奥さんおるやろお前ええええええ!!!

 

なんていうか、豪傑というのでしょうか。

家にあるミニ実験室からはじまる少年時代、

寮生活で自由奔放な大学時代、

上巻のクライマックスはやはり日本人としてはマンハッタン計画ですが、

非常に楽しそうに原爆開発しているのでぜひ読んでいただきたい。

 

趣味の幅の広さにも驚く。

ダンスが大好き、

リズム楽器も好き、

ドラムボンゴでバレエの伴奏をする、

ブラジルでカーニバルに参加するわ、

絵は売れるレベルになるし、

かと思えば暗号解読のノリでマヤの暦に詳しかったりする。

同じノリで鍵開けが得意だったりする。

幻覚に興味を持って幻覚を見るための訓練をする。

そして出来るようになる(!?)。

人生何周目。

 

こういう人の典型通りファインマンもまたアンチ権威で、

ノーベル賞断れませんかね?」などとTimeの記者に言い出します。

一時の体験としては面白いけど「ノーベル賞受賞者」という肩書きは

煩わしいものだと思っていたみたいです。

 

また訳がいい本だなあと思いました。

訳者を気にして読むことってほぼ無いんですが、

今回は思わずチェックしました。

「べらんめえ口調」、とても良い。

特に、章別にタイトルがついているのですが、

このタイトル、元々どういうタイトルだったんだろうかと気になります。

特に日本語を勉強していた時の様子が書かれた章のタイトル。

ディラック方程式を解いていただきたいのですが」。

本文中でファインマンが根を上げた

"Would you solve the Dirac Equation?"

の模範訳がタイトルに来ているわけです。

ぐっときました。(伝わりにくい)

 

 

好奇心の塊で努力の鬼で厳格な科学者。

誠実であれ、特に己に対して正直であれと訴える演説には

本当に科学が大好きなんだなーと感じました。

ぜひ手にとって彼の生き様を見ていただきたいです。