1度目の世界大戦はいかなる軌跡を辿ったか

 

 

 

 

10月が終わる……だと………

 

 

 

こんばんは。

何だか曇りや雨が多い10月でしたね。

もうちょっと晴れて欲しかったです。

気候がいいですねーっていう日があんまりなかった気がします。

11月に期待しましょう。

 

 

さて今回はこちら。

お久しぶりですWWⅠ。

 

第一次世界大戦史 風刺画とともに見る指導者たち

飯倉 章著

中公新書

 

サブタイトルにあるように風刺画がちょいちょい出てくるのですが、

風刺画を元に話を展開していくわけではなく挿絵のような感じで挟まれます。

風刺画はあくまでも「従」です。

〜風刺画を添えて〜という感じ。

 

 

サラエボ事件を発端としてどのように欧州が戦争にもつれ込んで行ったのか、

どんな考えを元に兵が展開していったのか、

ポイントとなった重要な戦線はどこなのか、

どんな英雄が生まれたのか、

そのときの指導者は何という人でどんな人柄だったのか、

各国の間でどんな駆け引きがあったのか。

 

第一次世界大戦の流れがわかるようになっている本でした。

出てくる人物名ほとんどわからないのですがこれがなかなか面白い。

 

ロシア国内を迷走させるツァーとか

いっつもイライラしてるカイザーとか

オーストリアのいまいちシャキッとしないかんじとか

イタリアの狡さとか

フランスの強かさとか

イギリス連邦アイデンティティとか

アメリカウィルソンの若さとか

 

こういう国同士の駆け引きも面白いのですが、

国内的に「国民の支持は強いけど政治家としては難のある戦争の英雄」を使いあぐねる様子もまた

ありがちだ……などと感じて楽しいです。

また風刺画としてはやはりモデルになるのは時の指導者が多いのですが、

国家や「ガリア」「ブリタニア」などの擬人化も見られます。

 

一方で面白いといえば面白いのですが同時に呆れるのが、

 

平気で万単位の人が亡くなる

 

ことですね。

大きな戦線になれば十万単位です。

これはすごい。もう何て言っていいやら。

後半だんだん麻痺してきます。

何キロも無いようなところをとったり取り返したりとれなかったり。

その度にうん万人。

ここが地獄だ。

特に西部戦線

 

独墺なんか海外植民地があんまり無いじゃありませんか。

それなのにぼろぼろ消耗するんですよね。

なぜここまで継戦できたのだろうかと不思議になります。

いや無理したから国内ズタズタになるんですけどね。

もうちょっと早く見切りつけられなかったのかなあ……と後知恵では思いますが、

決定的な「負け」が無いとやめられないものなのでしょう。

 

というよりも、ドイツの認識として、

終戦を迎えてなお「負けてない」という感覚だったらしくて。

無条件降伏ではなく、ベルリンでパレードされたわけでもなく、と。

それゆえにヴェルサイユ条約は衝撃であったようなのです。

一方で、では連合側が満足したかというとそうでもなく、

フランスの交渉役だった人物も「これは20年の休戦だ」なんておっしゃってます。

 

レモンのタネを泣くまで絞る側だったフランスですらこの認識というのは意外でした。

どうやらラインラントをもらえなかったことが不満らしいです。

この辺りは戦争で長く消耗し過ぎた弊害ですねえ。

得るものが少ないというのは受け入れ難かったのでしょう。

 

こんな調子なのでヴェルサイユ条約は交渉中から「将来の戦争の種」呼ばわりする風刺画があります。

 

そしてまさに20年後、第二次世界大戦が勃発。

 

終章にはヒトラーの名前も出てきます。

WW1戦後ドイツ史には欠かせない人物ですからね。

WW1の英雄と激烈な大統領選をやったりしたらしいです。

この辺りは本論の続きになるため記述が少ないので、

ああこういう風に繋がっていくのだなあ……と感じつつ別の本を当たった方がいいと思います。

 

これ、少し前に読んだ「人口学への招待」に

戦争によって若年層男子がごそっと減るとかなり長い間影響が残るとあったのですが、

20年経つともう一回戦争できるぐらいには回復するってことなんですね。

なんというか……もう………人類さあ………

 

 

WW1の流れをさっと見るのにはとても良い本でした。

冒頭に主要な地名がある地図もありますし、

最後には年表もついているので脳内を整理しやすく、お勧めです。