誰も信用できない中でデータだけは信用するために

 

 

年末まで2週間と聞いてぞっとしてます。1週間ぐらい感覚とずれてます。

怖いなあ。

 

 

今回読んだ本は本屋でふらっとタイトル買した本ですが、これがなかなか面白かったです。こういうのがあるから本屋で買うのやめられないんですよね。

 

ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ

岡嶋 裕史

講談社ブルーバックス

 

一時期ニュースを騒がせたブロックチェーン

仮想通貨ビットコインと抱き合わせでよく聞く言葉ですが、そもそもブロックチェーンってどういうもので、何に向いてるのかということをさらっと攫う本です。

 

それにしても暗号とか通信とかやってる人たちってめちゃくちゃ頭いいな!

 

前半には暗号化、公開鍵と秘密鍵、ハッシュ、デジタル署名といったブロックチェーンを支える基礎技術についての解説が書かれています。この前半パートがとても好き。よく考えるなぁと関心しきりです。公開鍵秘密鍵、なんてものは前にも別の本で読んだことがあるはずなのですがどうにも忘れてましたね。

ハッシュについては今回初めて知りました。はーすっごい。復号不可能な変換なんか意味あるのかと最初思ってしまいましたが、検証に使えれば十分というわけですか。私が使ってるPCがwinではないので本書内の例示をそのまま真似することはできないのですが、できるものならちょっとってみたいです。

 

そんな昔からある技術を見事に組み立てたのがブロックチェーン

細かいことがわからなくてもこれだけすごそうな感じが伝わってくるので、分かる人がみたら本当に画期的な仕組みなのでしょうね。

 

参加者がまともな奴かどうか少しだって保障されませんが、データが正しいかどうかだけは保障する。なんとも即物的というかドライな感じがします。あくまでも主なのはデータ。そして電力を食い散らかしながらその保障をつける作業がマイニングなのですね。

なんか当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、新しく出てきた画期的なセキュリティシステムを支えているコストがGPUと電力っていうの、笑ってしまいました。なんかだかなーいやそりゃそうなんだけど「電気代が……」って言われるとなーー急に泥臭くなってくるじゃありませんか。

 

しかし常に拡大し続けることでしか価値を保ち続けられないシステムってのがかなり泥沼な感じがします。どうなるんですかねこれ。マイニングの成功報酬は減る一方で、当分先とはいえ必ず終わりが見えている仕組みが今後どうなっていくのか、なんとなくその瞬間を見てみたい気持ちがあります。

 

情報にもITにも通信にも疎いどころの騒ぎじゃない私ですが、確かになんとなくわかった気になれました。技術書ではなく一般書なので、「あれっここどうなんだろう?」と疑問に思ってもその答えが書いてなかったりするのですが多分込み入った話になるんでしょうね。

そもそも「取引の合意を第3者が承認する」っていうのがどういうことなのかよく分かってないのも引っかかりの原因だと思います。

マイニング自体はブロックから与えられた条件にはまる数をひたすら探すというもので、これはブロック生成速度をコントロールするためだけのもののように読めるので、じゃあ承認の本体はどこにあるのよっていう疑問が捨て切れません。ビットコインの場合1ブロック10分で、6ブロック連なって、つまりそれだけ検証計算を繰り返されてようやく取引承認というならある取引が承認されるまでざっくり1時間?本当に?長くないかそれ?

この辺は多分もう少し通信についてお勉強する必要がありそうです。

 

ともあれかなり面白かったです。人ってシステムを出し抜くのには頭がフル稼働するものなので、知恵と知恵のぶつかり合いという感じがしてたまらないですね。楽しめました。