これは科学なのだろうか?

よ……読み終わった………!! ずいぶん前に「今読んでる」と書いた気がしないでもない宇宙論の本。 無事読了しましたあああ長かったああああああ 隠れていた宇宙 上/下  ブライアン・グリーン 著  竹内薫 監修/大田直子 訳  ハヤカワ文庫NF 多分宇宙の話が好きな方ならば 「エレガントな宇宙」という分厚い本をご存知だと思う。 この界隈ではずいぶん流行ったように記憶している。 それを書いた人の3作目。 ちなみに2冊目は「宇宙を織りなすもの」で、 この「隠れていた宇宙」の中にも 「詳しくは「宇宙を織りなすもの」を参照」という文言が良く出てくる。 私はどちらも未読。 ここでは最新の「多宇宙論」がテーマ。 宇宙は我々の住む宇宙だけではない。 無限の彼方の「向こう側」に、 いやひょっとしたらすぐ手の届く「隣」に、 遥か遠くの境界「面」上に、 コンピュータが展開するシミュレーションの中に、 別の宇宙は存在し得る……当たり前の顔をして。 我々の宇宙はどのようになっているのか? 「宇宙の実像」「実在」(リアリティ)とはどのようなものか? という問いに答えるべく、 最新の様々な多宇宙案が紹介されていく。 そしてこの手の話で必ずと言っていいほど問題となる、 「検証不可能性」についてもきちんと言及がなされている。 並行宇宙は、存在したとしても、 我々は行くことも、見ることも、検証することも、働きかけることも、支配することも出来ない。 なにせ完全に「あっちの世界」なのだから。 ではこれは科学と言えるのだろうか? 観測が不可能なのに?反証も出来ないのに? 筆者はこれに堂々とYESと答える。 むしろ認めぬならば科学ではないとすら言う。 ある理論が我々の宇宙について、検証可能な予測を出し、 それが正しいと実験や観測によって裏付けられたなら。 そしてその理論が他の宇宙の存在を語るならば。 並行する宇宙本体がみられなくてもきちんと予測がなされれば十分であると。 では実際にどうすれば裏付けとなるのかについても その後に色々と案が出されている。 この本で紹介される多宇宙論は、 どれも未完成であり「証拠が無い」。 しかし色々な多宇宙の形を見ていると どれか1つくらいはありそうな気がしてくる。 宇宙はどうなっているのか、 千年単位で人類が求め続けてきた答えの、 断片くらいには、 触れている、 のかもしれない、 好奇心にあふれた一冊。 以下どくしょかんそうぶん。 この本……一般向けではあるけれど初心者向けじゃない。 上下巻通して凄い密度。濃い。重い。 最先端の宇宙論なので、物理学であるのと同時に数学。 数式は巻末注に補足として多少出てくるだけですが これだけはっきりと数学を感じた物理本は正直初めてでした。 今まではあるテーマについての歴史的な流れを追っていくような 本ばかり読んでいたので がっつり解説本はええ疲れましたよほんと…… サイエンスって感じでした……… これまで読んだ本の知識フル稼働。 場の理論苦手なので上巻がきつかったですが。 インフラトン場とかいわれましても。 下巻の量子論の方がまだ分かった。 いろんな多宇宙の案がありましたがホログラフィック宇宙論が好きです。 ブラックホールの表面上に並んだエントロピーという名の情報とか 正直訳分からんけど面白いじゃないですか…… コンピュータの作る宇宙から来る、空間は離散的ってもの捨てがたいですがね。 「我々は特別ではない」というコペルニクス的な考えは結構好き(笑 読みながら円城思い出した。 リタが「私に無限に似た無限人の私」に向かって叫ぶやつ。 あの話好きなんだ。 次は監修の竹内薫が書いたなんかを読んでみるかー