時間を測る 時間を刻む

 

初めて紅茶染めというのをしてみたのですが、

浸けすぎてだいぶ茶色くなってしまいました。

 

 

こんばんは。

地図をアンティーク調にしてみたかったんですがねえ。

10分ぐらいで良かったようです。

まあもったいないのでこのまま使います。

 

さて前回の記事でkgの定義変更とモルのことを書きましたが、

今回は時計のお話、の本を読みました。

 

時計の科学 人と時間の5,000年の歴史

織田一朗

講談社ブルーバックス

 

時計というのがそもそもどういう仕組みで動いていて、

どんな進化を遂げてきたかということをまとめた本。

日時計に始まり光格子時計まで、

副題通り人が時間をどうやって計測してきたかという流れが見えます。

 

時計に必要な要素は、

1. 何日も使っても狂ってこないこと(1ヶ月誤差○秒)

2. 長持ちすること(連続使用可能時間)

3. コンパクトであること

4. タフなこと

5. 安さ

 

などが考えられます。

もちろん時計によって要求項目もスペックも違います。

各国の基準になる時計はコンパクトさも安さもいいからとにかく正確であることが大切になり、

日常で使うならちょっとの衝撃で壊れてもらっては困りますし安くなきゃ買えず、

腕時計ならデザインの制約が大きくなりますが高級品が許容されます。

 

大元を辿れば塔から紐で吊るした重りが落ちるその力を動力にしていたのが時計です。

当然長いほど持ちがいいので、その大きさは塔の高さだけありました。

その塔サイズだったものが紆余曲折を経て……

新しい機構の開発、金属加工技術の発達、よりよい合金の登場など金属そのものの進歩があり、

ついに腕時計サイズまで落ち着きます。

ここまでで電力なしで来られます。機械式というやつです。

 

私機械式の腕時計は持ってないんですが、

「自動ゼンマイ巻き」の機構があるんですね。

全然知りませんでした。

手の位置と地球の重力を使って巻く、

手の動きそのものを使って巻く、

手首の筋肉の膨らみを使って巻く……

よく考えたもんです。

 

このあたり、時計の仕組みが頭に入ってればすんなりわかるんだろうなあ。

図解もありますが、私が機構図を見てもピンときません…(苦笑)

そもそも時計の仕組みちゃんとわかってないからなー。

最初のほうを繰り返し読むか、別のより詳しい解説を読むか、

もういっそ拡大版を組み立ててみるぐらいしないと理解できなさそう。

誰かいい教材知りませんか。初歩的なやつ。

 

しかしやはり、クオーツ時計の登場というのは大きかったんですねえ。

 

時計の、秒針が「カチッ…カチッ…」と進むあのイメージ、あるじゃないですか。

まさに時を刻むというあの動きと音。

 

あれ、時計がゼンマイから電子機械になった時、省エネ化するためにできた苦肉の策だったらしいです。

 

1秒に1回しか動かさなくて済むなら1秒未満だけ通電すればよく、

それだけ長持ちするということらしいです。

意外すぎる由来。

クオーツ時計の進化は電池と回路の進化と共に、今日の形にまで来ております。

デジタル式をめぐるLEDと液晶の争いも面白い。

最近だと腕時計にも電波時計が普通に売られていますよね。

電波時計って、日本だと福島と佐賀にある電波塔から出た電波を受信してるらしいですよ。

GPS付きの時計もあるし、すさまじいです。

 

なお腕時計には「およそ考えられる機能は一通り乗せた」という歴史があります。

LSIが組み込まれていて、液晶が乗ったらまあ大抵のことはできてしまうのです。

ポケベル機能とか、計算機能とか、ラジオとか、テレビとか。

Apple Watchかな?

時代が早すぎましたかね!?

一台でどこまでできたのかは定かではありませんが……なんで廃れちゃったんですかねえ。

たまにスポーツ大会の審判が

リアルタイムで試合を確認できる腕時計をしていたりするので、

ハイスペック時計というのはこういう特殊用途で生き残っているということなんですかね。

 

ひたすらに精度を求める方の時計のお話も。

 

「時間」は現在原子時計で定義されていて、

基底状態セシウム133が91億9263万1770回振動する時間」が1秒です。

重さでも長さでもなんでも目盛りは小さく定義したほうが精度が上がるのですが、

時間の場合、突き詰めていってこんな細かくなりました。

数百万年から数千万年に1秒のズレらしい。

 

しかしこれを上回る光格子時計というのがでてきており、

こちら300億年に1秒しかずれないらしく、

この宇宙ができてからまだ100億年と言われているレベルなので、

なんかもうとんでもない次元です。

ここまでくると「標高差を時間で検出する」ことが可能になります。

 

は?

 

曰く、

 

アインシュタイン大先生によれば、時間って、重力の強さに依存するじゃないですか。

重力の強さは地上からの距離に依存するじゃないですか。

だから時間の進み方も地上からの距離で違うじゃないですか。

そういうことだ。

 

だそうです。

なるほどー………異次元だなー。

 

 

時計がいかにその時代に持てる技術をつぎ込んで作られたものであるか。

その全力さがよくわかった一冊でした。