高次元空間を見る方法 - 想像力を駆使して3次元の先に行け!

  GWが終わってしまう……さみしい………結局積読消化で終わってしまいました。自分の引きこもり耐性の強さを再認識。まだまだ行けそう。

 

 

 今回読んだのは前回の「時間は存在しない」にちょっとだけ話題が近い本。

高次元空間を見る方法 次元が増えるとどんな不思議が起こるのか

小笠英志

ブルーバックス

 

 通常3次元と認識される日常空間。時間も足せば4次元ですが、なんとなく時間軸って3次元空間の拡張としては認識されないものである気がします。

 本書では3次元xyz空間を習う時2次元xy平面から拡張して想像するように、4次元空間を3次元空間からの拡張として想像できるようになることを目標としています。ただ変数の数を1つ増やして3を4に書き換えるわけではなく、そこに立ち上がる4次元の世界を懸命に見せようとします。図解は丁寧で、ときに「その図、2ついる?1つで良くない?」と思ってしまうようなゆっくりさですが(私が単に意義を汲み取れてない可能性は十分にある)、初学者どころか興味本位で手に取った私のような読者を必死に支えてくれようとします。

 具体的な題材として結び目が取り扱われます。3次元空間に置かれた一見してほどけない紐(=1次元)の結び目を4次元空間を通してほどくとこから始まり、4次元空間内の2次元結び目などというものが登場し、「では結んでみましょう」というところが一つの山場になってます。

 

 合言葉は「気合で想像し直観せよ」。

 

 数学書っぽくない脳筋フレーズですがこの手のワード何度も出てくるんですよ。今気づいたけどあれですわ。

 

 筋トレの時インストラクターが終始ポジティブなこと言い続ける感じですわ。

 

 がんばれがんばれあなた方なら分かりますよ高次元空間は素晴らしい世界なんですよ見えたら絶対感動しますよこっからが山場です大切に頑張れほらついてきて下さいね出来るってば出来る出来るねっ凄いでしょコレ……という具合です。

 文体のせいで暑苦しさが続くことはないけれど、時折「著者ぐいぐい来るな‥‥」と思うことはあります。この必死さのおかげで読み通すことはできましたが、最後の方になると著者の研究紹介の様相を帯び、そこではすっかり置いていかれました。ラストにダッシュしすぎじゃない?と思わなくもないですが、まあ最後だし。結構この高次元結び目の分野って未解決な部分も多いんですね。

 

 自分の頭だと途中まではついていけるけどふとした時に分からなくなり、またちょっと分かって最終的には「あーそういうことかーーーーぁ?」ぐらいです。前半のほどく部分はまだわかるんですが平面周りの空間回転ってのがなあ。ちょっとキャパを超えてる感じがあるんだよなあ。想像力が足りてないですね。理解がハマったときの「!!」の感じはなかったのですが、端っこくらいは覗けたかな。本文中には単語として出てこなかったですがトポロジーなる分野ですねこれ。いくつかキーワードを手に入れた感覚があるのは収穫です。

 

 こちらに分かってほしいという気持ちはすごく感じ、だから頑張ってとにかく読み通した、インストラクターさん凄い。そういう本でした。