越境移動が緩和(いや別に逮捕されてたわけではないのだが)されましたね。これはお盆あたりには普通に旅行するようになる流れでしょうか?
6月半ばに入り、日本列島は梅雨入りしましたいかがお過ごしですか。こちらスキを見て布団をせっせと干す日々です。
ちょっと前にブルーバックスの「ブロックチェーン」を読みました。
なんだか胡散臭いものに感じていたブロックチェーンでしたが、暗号化技術を駆使してファイル共有をしつつデータの改竄を防止する仕組みに「全然分からんがなんだかすごいな!」と興奮したんですよね。で、以来もう少しこの件踏み込んでみようかと思って何冊かまとめ買いしました。これはこの一冊。
森川夢佑斗
ベスト新書
特に評判など調べずタイトルで買いました。著者の名前は「むうと」と読みます。初版は2017年らしく、技術の最新分野というのは1年経てば景色が一変する世界なので、この話題を扱った本にしては「古い本」ということになります。深層学習系の本もきっとそうですよね。
前半にはブロックチェーンの技術的なことが簡単に紹介されており、後半には来るべき未来社会の可能性について描かれています。前半の技術パートについては前述のブルーバックスの本の方が詳しいですね。著者自身もエンジニアというわけではなくコンサルらしいので、この本のメインは真ん中〜後半の応用展開の提示にあります。
ブロックチェーンと組み合わせて使われるべき、重要な概念として登場するのが「スマートコントラクト」です。コントラクト=契約で、プログラミングコードとして書かれます。
契約内容をコード化してブロックチェーンにいれ込み改竄不可能とした上で、そのブロックチェーン通貨の支払いにより契約を実行させる
-ということを考えた賢い人がいるらしいです。ブロックチェーン自身もそうですが、技術と技術が組み合わさるとまた新しいものが出来てきますね。
有名どころのスマートコントラクト含有ブロックチェーンに「イーサリアム」というものがあります。ブロックチェーンなんかビットコインぐらいしか知らなかったので「へーー」です。イーサリアムの通貨単位は「イーサ」なのですが……イーサって「Ether」なんですねこれ。エーテル、ですか……。支払いの際の手数料は「Gas」と呼ばれるらしいしなんでそんないつしか消えそうな命名したのか、開発者に是非聞いてみたいところです。いかにも化かされそうじゃないですか。
本書は「ブロックチェーンはゆくゆくはインフラになる」と予測しますが、今の時点で素人が思いつく問題になりそうな疑問点を書いておきます。
まずインフラとなるには少なくともその共同体全員が十分にインターネットを使用できる環境にあることが必要なこと。万人のアクセス可能性の問題。
次に情報の秘匿性が求められるケースにどうやって対応していくか。ブロックチェーンはオープンであり何度も検証されることでセキュリティが増すシステムなので、秘密に対してはめちゃくちゃ相性が悪いんじゃないかと思える点。
また開発インセンティブの問題。仲介業が消滅するなら銀行がそのシステムを開発するメリットってどっかにあるのだろうか。ピットコイン開発陣はボランティアらしいんだけど、それでいいのか。
そもそも「開発陣」って「中央管理者」的立場になり得ないか?そのシステム変更をすることができる人々に特権的立場があるのではないか?
ざっと挙げてみました。まあもちろん素人考えなのでとっくに解決されているのかもしれません。ブルーバックスの本が「ブロックチェーンに向いてることと向いてないこと」を書いていたのに対してこの本は結構薔薇色の未来を語るので、逆にちょっと警戒してしまいますね。頭の硬い老人のようである自覚はありますが。
旧来より「技術は使う人次第」と言われ続けているので、おそらくブロックチェーンも使いよう、ということになってくるのではないかとは思ってます。
なおこの本、ブロックチェーン発達段階として4つのステップを挙げており、2020年前後では「ブロックチェーンがデータを改ざんのない状態で保管し管理できるというメリットを生かした、データ処理技術としての活用が進むと考えられます。」としています。
私にはこれが具体的にどのような技術の登場、社会への浸透状況を指すのかが全く見当がつかないのですが、ITに強い人、この予測は当たっていますか?
薄めの文庫本なので、さらっと読むには良い本であると思いました。いやほんと、半月近くかけて読む本じゃないですってこれ……なんでこんなにかかったの……